勝ちたいなら勝てるギャンブル

私が初めてパチンコ屋さんに入ったのは、小学生の時でした。
叔父の趣味に付き合って、月に1回程度パチンコ屋さんに足を踏み入れていたのを覚えています。

当時はまだパチンコ業界の規制が甘く、子どもでも気軽に入店できる娯楽施設でした。
私は、叔父の後をついて回りながら、落ちている玉を拾ったり叔父の隣に座って打っている姿を眺めていました。
今思うと、子どもにとって見ているだけという作業はとてつもなく退屈な時間のはずですが、
叔父が勝つとお駄賃代わりに袋いっぱいのお菓子を貰えたので、ただひたすら叔父が勝つことを願いながら待っていたのです。

時は過ぎ、私も成人と同時に社会人になりました。その頃には、すっかりパチンコ業界の規制も変わり、
子どもの入店は認められず、パチンコ台も以前より玉が出なくなっていました。
年々規制が厳しくなり、打ち手も離れていき終いには弱小店舗は倒産、今では体力のない店は生き残れない世界になってきています。

公的ギャンブルと言われている宝くじや競馬は人気が落ちることはないのですが、国の政策の煽りを受けやすいパチンコ店は生き残るために必死に経営しているように感じました。
海外から参入してきた大手のパチンコ店でさえも、地方となると集客も落ち、以前私が子どもの頃に行っていたような店内の活気は見られません。
まさに時代の流れとともに衰退してきているパチンコ店ですが、高度経済成長期から市民の娯楽として日本を支えてきたのは事実で、ひとえにギャンブルと言えど、悪いものではないと思います。
もちろん、パチンコに限らず、宝くじやロト、競馬・競輪、カジノなど、趣味としてストレス発散の場にする分にはカラオケや遊園地と同義だと考えますが、依存症による借金や自殺などをニュースで見ると趣味の範囲では収まり切れないのもギャンブルなんだよな、と考えさせられます。

ある方の著書に、ギャンブルをするのは悪いことではないが、どうせするなら勝てるギャンブルをした方が良いと書いてありました。
手元にお金がなくなると、次のギャンブルどころか今晩のご飯代さえなくなってしまうので、それなら勝てばよいという理論です。
では、どうすれば勝てるのか。答えは簡単で、勝てる確率の高いギャンブルを選べば良いとのことでした。

この考え方は知っている人も多いと思いますが、パチンコ店は9割方胴元が勝つようにできています。
カジノはほぼ半々の確立でユーザーが勝てます。
現在、まだ日本にカジノは無いので、勝率が高いと言われている競艇を選んで賭けを楽しむのも手ではないでしょうか。

と言っても、長年パチンコをしてきて、急に体質の変わらない方も多いと思います。
私は十数年前にやめてからパチンコ屋には行っていないのですが、この時代でも専業としてパチンコ・スロットで生計を立てている友達はいます。
その友達でさえも、厳しい現状をひしひしと感じながら、それでも毎日オープン前に店に並び閉店後に帰宅しています。

もはや、一般会社員よりも過酷な労働を強いられているようにしか見えないのですが、
彼はまだ勝てるうちは通うと宣言しているため、止める理由もありません。
ただ彼の口癖は、せっかくなら主軸をしっかりと仕事で頑張り、休みに趣味としてパチンコ屋へ行くことが健康的にも良いんだけどな。
それを分かっていてやめられないのは、意地だったりプライドだったり、何より依存しているからなんでしょうね。

前述したように昔のパチンコ店なら年収も何千万と狙えたでしょうが、今は勝てる時代では無さそうです。
パチンコが好きで、勝った時の爽快感が忘れられないという方も少なくないでしょうが、爽快感よりも、時間や人など大事なものを無くす前に方向転換して違う趣味に熱意を向けるのも、もしかしたら人生に勝てるギャンブルだったりするのではないでしょうか。